何かの行為に伴い人から勝ち取ったものがPrize、戦争により獲た捕虜を収用するのがPrison。
深紅の色を得るためにその昔はカイガラムシ(Kermes vermilio)を捕獲して抽出したからCrimson。
深紅の色は、人の心を魅了する蠱惑的な力がある。恋愛、情熱の色といってもいい。そして、この魔力に囚われた人は、ある意味で恋の奴隷となった存在(Prisoner)といってもいいのかもしれない。
そうした意味で、CrimsonとPrisonという2つの言葉は繋がっているのだと思う。
そんなことを思った理由は、80,90年代のJ-popsにヘヴィーに傾倒している二十の娘とともに、中森明菜の『Crimson』を改めて何度も聞き直しているからなんですが。
収録曲のOH NO! OH YES!や駅などは、まさしく恋の奴隷となった深紅の女性の世界観だな…と。
このアルバムが発売された当時の僕は、この世界観というものにあまり傾倒ができなかった。解釈がまるでできなかった。このアルバムを出した当時の中森明菜も二十。女性の精神世界が男性のそれとは大きく隔たりがあるということの一つなのでしょうか。
少なくとも、彼女がこの年齢でこの歌を情感込めて歌い上げられる理由は、彼女が不自由な恋愛の経験を積んでいるから。そして、相手を思い詰めるエネルギーが人並み外れて高いからだろうと。そして、その分大きな孤独の闇を抱えている人だからだと思います。