歌は、音程やリズムが取れ抑揚などが効いているという技巧以前に、伝えたい気持ちが自分の中にあるかどうかが大事なこと。
ドラマ「エール」で音は、憧れの双浦環(柴咲コウ)の見ている審査に見事に通り最終審査に進むものの、「貴方の歌には、感じるものが何もなかった」というキツい一言を浴びてしまう。音には、椿姫の主人公の切ない愛の心情が理解し切れていないゆえに、それもそのはず。
心から相手を大事に想い、かけがえのない相手だからこそ、永遠の別れを告げる。その心情を女給バーの同僚である稀穂子から垣間見て学ぶわけですが…あまりにも悲しい。音に引きずられて号泣だわ…しかし、稀穂子さん役の女優さん心に残るいい演技です。
椿姫さながらの悲恋を目の当たりとして、世界観を会得した音は見事最終審査に合格なんですが。やっぱり伝えたい感情が土台で、技巧はその上に乗るもの。ついつい逆にしてしまうのですがね。
やっぱり切ない恋の歌を歌いこなせる人は、そういう経験を実際に積むか、疑似体験をしてないとダメ。平原綾香さんが家族愛や人間愛の歌が多くて、男女の恋愛の歌がないのもそういうことなのかな…