Homare's Diary

組織人事コンサルタントの徒然日記です

「大艦巨砲主義」電機メーカーの落日

iPhoneのディスプレイが液晶主体だったときは、サプライヤーSHARPジャパンディスプレイ(JDI)に軍配が挙がっていたわけですが、X以降は有機ELに取って代わりSHARPもJDIも完全に締めだされてしまった。代わるは韓国サムスン有機ELの世界シェアは9割超。やっぱり電力消費の少ない有機ELは、長時間駆動を求められるスマートフォンの性能向上において主流パーツになるのは避けられない。サムスン帝国はこの領域では安泰です。


廉価版のSE2020においては液晶が採用されているので、サプライヤーとして選ばれているSHARPもJDIも安堵しているかと思うのですが、旧世代の位置づけに完全になってしまったのは何とも寂しい限り。


こうなってしまったのは、日本の家電メーカーがTV中心に物事を考えていたからなのだと思うわけです。パナソニックNEC、日立、東芝ソニー三菱電機・・・みんなそう。確かにかつてのTVは売り上げの嵩も張るし、利益も相当に産み出されたのだと思います。でも、据え置きが基本だから電力消費にそこまでシビアにならなくてもいい。それよりも大型パネルを作れる方に目が向く。SHARPなんて完全にその方向性に乗っかって堺の巨大工場を作ったわけだからね。


でも、今やTVなんてコンテンツもイマイチで置いていない若者も多い。買い替えサイクルは長いし、価格低下のスピードも非常に速い。まあ、儲からない。スマートフォンは2年に1回買い替えて価格も上昇していることを考えたら、TVよりよほど儲かる事業だということが時の経営者は誰も分かっていなかった。もし分かっていたらTV向け大型液晶ディスプレイより、小型の有機ELディスプレイに全力を注いだでしょうから。第二次世界大戦になぞらえれば、TVは大艦巨砲主義戦艦大和でありスマートフォンは戦闘機みたいなもの。戦艦建造に力を注いだ帝国海軍は、見事に惨敗。

 

日本の家電メーカーも有機ELは2000年代には各社取り組んでいたはずなんです。でも途中で展望が見えないとして止めてしまっている。技術者は引き抜かれてサムスンにノウハウを持っていかれてしまった。先手を打っていたのにヨミを誤ったというわけですが、実に悲しいです。


ちなみに、iPhone6,6s,7,8で採用されているRetinaディスプレイは、自分で交換すべくAmazonで買おうとするとせいぜい3000円です。iPhoneにおいてディスプレイの綺麗さは売りなわけなんですが、部品メーカーはさして儲かっていないはず。それより低い原価のiPhoneを高額で売るAppleだけが圧倒的に儲かる構造は変わってないのですよね。