物が燃えるためには、条件がある。可燃性の物質、酸素、温度だ。
最後の条件である温度は、意外と見落とされがちである。湿った木が燃えにくいのも、冬のキャンプで火をおこしづらいのも、燃焼点まで温度を上げることが難しいからだ。
同じ法則は、組織・人にも当てはまる。モノ・カネのリソースは可燃物であり、酸素はコミュニケーションによって供給される情報。そして、情熱を持ったリーダーだ。
感情を表にださなくてもいい。ただし、リーダーはエネルギーを持った人でないと、燃える集団にはならない。燃える集団は、個々の足し算ではなく掛け算の力が出る。
目標が明確でビジネスモデルが確立された事業で成果を短期的に上げるのであれば、リーダーに情熱なんて必要ないのかもしれない。でも、長い間成果を出し続ける、不確実性の高い中で臥薪嘗胆し、成果を生み出すような組織においては、リーダーの情熱は欠かせない。
残念なのは、多くの企業でリーダーに必要とされる要件として、情熱(人をエナジャイジングする)は明確に定まっていない事。
この結果、目に見える成果だけに執心する人間が抜擢されてしまう。果たして感情の機微に疎く、情熱のない人間のもとで働く人は、心がやせ細ってくる。
『生きるって自分を燃やすこと、振り向いて悔やんだりしたくない』(渡辺美里 Grow'in up)
誰しも望んでいるのは、自分を燃やし、振り向いて悔やまない働き方、生き方なのだから。