Homare's Diary

組織人事コンサルタントの徒然日記です

好きと安定のトレードオフ

長男は大学三年。就職活動を意識する時期になってきました。どういう仕事、会社がいいのか…彼なりに悩んでいるようです。

 


『お父さんのように、自分の仕事が好きな人って世の中に少ないんじゃないかな…』

 


「そうだろうと思うよ。でも、最初から本当に好きな仕事なんて分からないよ。だから、あんまり構えずにいた方がいい。ドラッカーだって最初の仕事はくじ引きみたいなものと言ってるのだしね」

 


「大事なことは、気がついたときに失うことを恐れないこと。お父さんがそれに気づいたのは、30代の半ばだった。そこで、積み上げたものを失うことを恐れて挑戦しなかったら、今はないよ」

 


『30代になってからなんだ…上がってきた給料とか、肩書きとかそういうこと?』

 


「そう。それだけじゃない。積み上げた経験やスキルをゼロにするってこと。そして、自分より長い経験を積み重ねた人に伍していかなくてはいけない。馬鹿にされたり、無能扱いされることを含めてね」

 


『好きが試されるってことだね…』

 


「そのトレードオフができれば好きな仕事はできるよ。だから、自然体でいった方がいい。無理に自分を売り込んだり、合わせにいかないこと。そうすると、好きから遠ざかっていくよ」

 


『そうだね。無理に合わせてアピールして入っても、後で苦労するものね』

 


「そのためには、自分だけしか持っていない経験、考え方が何かということを見つめ直した方がいい。お父さんは、留学経験もない、英語だって大してできない。でも、こだわって研究した企業哲学の論文や臨死の闘病経験で考えたことなど。相手は興味津々で聞いてきた」

 


『だろうね。そんなことを話してくる人などいないだろうしね』

 


「そう。だから、ないものや人と比較をしないでよく自分を見つめ直してみるといいよ。それと、誰もが志望する会社は、大したことないからやめた方がいい」

 


『お父さんがいつも言う、B2C企業よりB2Bにいい会社が多いってことだね』

 


「そう。人気企業を志望する時点で、人に価値観を合わせてる事だから。お父さんが最初に入った会社は、140名くらいの小さな会社だった。誰も知っている人がいなかったよ」

 


『プライスウォーターハウスは、有名じゃない』

 


「今でこそね。でも入った理由は、知名度じゃなくて関心のあるテーマで、自分を選んでくれた会社だったから。知名度なんてどうでもいいんだよ…」


『うん。そうだよね』


僕が組織・人事に足を踏み入れたきっかけは、若者のキャリア、就業支援だった。あれから15年がたち、こういう会話がようやくできるようになったのだよね。