人の感情を理解する、想像することをせずして、マネジメントを行うのは、ある面で効率的かもしれないが弊害も大きい。
変化の激しい環境の中では、マネジャーが情報をすべて把握し、的確な意思決定を行うことなど困難。部下に権限を委譲し、部下からは見えていない視界の情報を与えていくことで、自律的かつ適切に仕事をしてもらう。それが最大の成果を生み出し、やりがいを生み出す。
自律の最大のポイントは『感情』。ポジティブな感情で動機付けされていない限りは、自律など生まれようがない。
頭のいい、仕事ができるといわれる人に多いのは、当座のポジティブな感情を持たずして物事を進めていける人である。彼らは、自身が目先のポジティブな感情の下に行動するというパラダイムでないから、他人に対しても同じように対応してしまう。
もっとも、彼らがポジティブ感情を持っていないというのではない。将来もたらされうるポジティブ感情を期待して行動しているといってもいいかもしれない。彼らにおける優先順位は、「いま・ここ」よりも「将来」であり、「人の心」より「事をなす」こと。
今の世の中が息苦しくストレスフルなのは、先の優先順位で動いている人たちが重用される仕組みになっているから。
人は幸せを求めて生きている。真実を見つめる目があれば、そういうパラダイムで生きている人と時間をともにすることは、無駄だと思うことだろう。組織の論理に染まっていない若者が、そうした会社に背を向けるのも分からなくもないのである。