Homare's Diary

組織人事コンサルタントの徒然日記です

星々の悲しみ

宮本輝さんの小説の中でも、美しく磁力をもつタイトルが「星々の悲しみ」です。今でもときどき、読み返してみたくなります。


世を去ってしまった人は星になるといいます。そして死んで天に上げられた星々には、不条理で儚い人生を生きた悲哀の物語が埋まっている。小説では、主人公の友人における悲しみと彼らの心をとらえて放さなかった「絵」の作者の悲しみが描かれています。


別に星にならなくたって、僕たちは悲しみをそれぞれ抱えています。人に見せることは普通はありません。見せたところでいったい何になるのでしょう。憐れんでもらいたくもないし、他人を不幸な気分にさせたくもありません。だから、そんなことは普通は見せないものです。


でも。どこかでそういうことを知ってほしいと思う自分もいたりする。独りで抱えきれないときもある。そうした部分をさらけ出せる相手が欲しいという気持ちがどこかにある。


そういう人が見つかり、人生の伴侶ともなればそれはなんと幸運なことなのでしょう。百歩譲って、友人にいれば最高です。そうした人が、一人でもいれば人生はどれだけ心強いものになるでしょうか。


自分の基底部を理解し、抱える悲しみを分かっている、分かりうる・・となると、むしろ対話の内容は、日常のありふれたテーマで十分です。相手の内面を掘り下げる会話なんていらない。それは、深い繋がりの上に成り立っている会話だからかもしれませんね。