自分が感じたこと、考えたことに素直であること。
一見、シンプルなようなことでありながら、集団の中でこのスタンスであることは難しかったりする。素直なスタンスを取ることで、周りからどう思われるのか、セーフティゾーンが侵食されるのではないか。そうした考えが頭を過った瞬間、素直な態度はできなくなってしまう。そして変に物わかりの良い、嘘つきなオトナを演じてしまう。だが、このスタンスはコンサルティングという仕事においては一番避けなくてはいけないこと。自分が感じた小さな違和感、疑問に敏感であること、それを表明できることがプロブレムソルバーとしての基本スタンスだから。
僕がそのことを肌身で学んだのは、新卒で入った同期の女性たちからだった。同期入社24名、うち7名が女性だったのだけど、彼女たちは僕が今まで見たこともないような、抜群に頭の切れる女性たちだった。
忖度なんて及びもつかない。考えがまとまっていなくても、少しの違和感を感じたら彼女たちは、遠慮なく場を止めて言葉を表した。もちろん、論理性もあるのだが、論理に収斂される前の疑問や違和感を素直に口にできる彼女たちの姿は、清々しい気持ちの良い衝撃だった。一方の僕は、鈍くさく彼女たちには相当に呆れられる存在だった。まあ今でもそんなところを多分に残しているのだけど。
何を良しとするのか、その判断軸を形成していくうえにあたっては、真っ白だった駆け出しのときの原体験は大きい。スマートな人とは、なんでも知っているとかではなく、知らないことや疑問を口にすることに対して、全く恐れを持たない。とにかく素直な人たちなんだということを。