Homare's Diary

組織人事コンサルタントの徒然日記です

スパイシーフィードバックの意味

朝一のドキュメントレビュー。彼女のドキュメントを見て、僕は首をひねった。読む気も起きない、頭に入ってこない。それを告げ、手書きで新たに書き起こしたスライドを見て、彼女の顔はみるみる歪んでいった。目からは大粒の涙。


前回、僕は彼女にかなり厳しいフィードバックをした。出張続きでみてやれなかったから、ちょっと可愛そうなのだが、このレベルでは顧客には到底出せる代物ではない。関西のクライアントだったから、早朝の新幹線で大阪入りし、現地オフィスで二人で顔を突き合わせ資料修正。なんとか午後の打ち合わせに間に合わせた。


前職での経験とか、他のプロジェクトで指摘を受けていないとか、そんなのどうでもいい。僕においては、相手にとって分かりやすく、問題の本質をやさしくシンプルに伝えるドキュメントに仕上がっているかどうか。それだけ。


僕は、冗長な文章がぎっしり詰まっていたり、整理されているかのように見えながら、その実なんの整理にもなっていないドキュメントを見ると、イラっとしてしまう。相手の視点に立っていないから。そこをかなり厳しくフィードバックした。それがすっかりと彼女のクセになっているのだ。


そもそも、スライドというのは直感的に理解をさせるためのものであり、じっくり文字を読ませるものではない。プレゼンテーションというのは、語源がプレゼントなのだから、相手にとって大事なものを選び取って送り届けてこそ価値がある。なんでも、詰め込めばいいというもんじゃない。


そういう一件があったので、彼女も満を持してかなり時間をかけて作成したのだと思う。だが、全く出来ていない。物事を俯瞰して見た上で大事なものをシンプルに整理したとはとてもいい難い。でも、それって修練を積まなくちゃいけないし、出来るようになるにはかなり時間がかかる。僕もそうだったから。


あー泣かせちゃったなと思いつつも。真実を言わないで裏で出来ない人だと言う方が僕は罪だと思う。人が育っていないとか言う前に、厳しいフィードバックでその人が抱える課題をマネージャーとして伝えてないから、いつまでもそれでいいと思って停滞するのだ。

 

僕だって、厳しいフィードバックを様々な人に受けてきて今がある。変に相手を慮ったり、まあいいかと流されて勘違いしていたら、僕のような愚か者はきっとすぐに自己満足してしまっただろうから。