Homare's Diary

組織人事コンサルタントの徒然日記です

裁量労働制法案に思うこと

厚生労働省の提示したデータの不正確さによって、紛糾している裁量労働制拡大法案。裁量労働制は不可避の議論だが、労働時間の削減を梃子に法案を通すのは危うすぎる。


データは真実なのか誘導するための操作があったのかは定かでない。ただし、人間心理の観点に立てば、現行環境で裁量労働制にすれば、残業時間が減るとは考えがたいということ。


それには、日本の人事慣行と米国のそれとを対比させなくてはいけない。


まず、米国においてはジョブベースで採用されるし、ジョブサイズで処遇が決まる。その中で、パフォーマンスや生産性が低ければ雇用は極論終了する。また、一生懸命残業をしたとしてもプロモーションはない。


翻って日本。総合職においては、ジョブサイズは無制約であり、多くの量をこなしていけば評価は良くなりプロモーションに繋がる。


前者においては、残業を極力しまいとするインセンティブが働くのに対し、後者は無給でも残業をするインセンティブが働く。結局この議論は、得体の知れない総合職というものや新卒採用、内部昇格の前提を無くしていかないと解決しない。

 


同一労働同一賃金、定年延長、裁量労働制、働き方改革…全ての施策はどれも日本の労働法制や人事政策の抜本改革を迫るものだ。これを理解している人がどれだけいるのだろうか。


まあ、一方でこうした労働分野の改革議論が熱いこともあり、僕のしている仕事について子供たちに話す機会が増え、理解してもらえるというのは何ともありがたいことではあるのだけど。