ベーシックトラスト=基本的信頼。自分自身はかけがいの無い愛されている存在であり、なにか障害あってもきっと乗り切っていけると想う感情。
この感情が欠けていると、ネガティブ感情に常に囚われ行動が阻害されてしまう。特に、人間関係を上手く構築していくことが出来ない。いつも自分は相手から嫌われているのではないか?そう思えて積極的な行動が出来ない。
ベーシックトラストが育まれていくためには、親との関係性が大きな鍵を握っている。抑圧的な親の元で育った子供は、自分の意思決定に自信を持てない。また人を信頼することが出来ない。
じゃあ、親との関係性が悪かったらベーシックトラストは2度と形成していくことが出来ないのか?過去は変えられないので、ゆっくりとものの見方を変えていくしかない。自分は美しい世界に生かされている、かけがいの無い存在であること。その事を顔を上げ、季節の移り変わりに目を留め味わっていくしかない。自然の美しさは、人の感情と違って普遍性があるから。
親に満たされなかった感情をパートナーや子供に求めていくと、負の拡大再生産になる。何かに依存して身を持ち崩してしまうのは、もってのほか。
ベーシックトラストに欠如した人の行動の典型例は、映画『フォレストガンプ』に出てくるヒロインのジェニー。幼少期の親からの性的虐待によってベーシックトラストが育まれないまま大人になります。
大人になった彼女は、カルトじみたヒッピーグループに入り反戦運動を行い、薬物中毒、そして自殺を図ります。フォレストは、そんなジェニーに愛情を注ぎますが、彼のことを受け入れることが出来ず、エイズに冒され、フォレストとのあいだに出来た子供を残して世を去ります。彼女が最期に気づいたのは、フォレストに無上に愛されている自分でしたが、もう余命は残っていません。
フォレストの立場からジェニーを見つめると、胸が締め付けられる思いがします。一方で、ベーシックトラストがうまく形成されないと自分を大切に出来ず、何かに依存して人生を彷徨ってしまうということをよく表していると思います。