自分の気持ちばかりが優先でアプローチしていた昔。当たり前のように恋愛はかばかしくなかった。
さり気ない行為で相手に気持ちを伝える、相手の顔色に感触を確かめる。駆け引きは嫌いだけど、心を通わせていくプロセスというものが分かっていなかった。
全くメンタリティーの異なる存在と日々暮らしていく中で、身についたのは表情のちょっとした変化とその時の気持ち。さらにはどう接していくのがベストかという知恵。正解はないし、天候の変化のように常に同じものがない以上、いつも上手く対処できるわけではないけど…
今は、表情や仕草から相手の心象模様が見える。相手がいい印象を持っているのか、そうでないのか、全く視野に入っていないのか…
変に寄りかかろうともしていない相手なら、底にある気持ちを汲み上げて、気の利いた言葉を掛けることもできる。
30年前にこの力が身についていたら、どうだったのだろう。もう少し恋愛は上手くいったかもしれない。孤独に苛まれることもなかったかもしれない。
とはいえ、見えることがいつでもいいわけではない。未来という不確実性の高い選択をするときは、選択肢が少ないこと、見えないことで備わる覚悟もあるのだということ。そう、若気の至りだからできることも多かったりするからね。