多くのクライアントを抱え、徒に売上を拡大するやり方ではなく、相手の成功のために寄り添い、真の信頼関係で結ばれたパートナーを目指す。それこそが、価値ある仕事じゃないか?
会社方針に疑問を感じた敏腕スポーツエージェントだったジェリー・マグワイアの結論は至ってシンプルなものだった。彼は、改革の企画書を寝ずにまとめ上げ、全社員に広報する。だが疎んじられた会社からクビを宣告される。
ビジネスの同志を去り際に募るも、彼に付いてきた仲間は、体の弱い子供を抱えるバツイチシングルマザーのドロシー(レネー・セルフィガー)だけ。数多のクライアントも全てインディペンデントの彼から離れてしまう。唯一残ったクライアントは、三流フットボーラーのロッド…崖っぷちに追い込まれたジェリーは、どう這い上がっていくのか…
1996年の作品であるトム・クルーズ主演の『ザ・エージェント』
20年前には意識していなかった自分の立場との相似点を味わいながら、正月休みに久しぶりに見ていた。
気むずかしく注文も多いが、情に厚く本音を言い合える真のバディと呼べるクライアント。夢に共感し、無一物となった彼を支える恋人。二枚目をかなぐり捨て、泥臭くストラッグルするトムクルーズの姿が清々しい。やっぱ、仕事の価値はハートだよね。
自分の契約解除の時も、一方的で突然だったが、アメリカの雇用終了も同じようにドライ。そんな中でも、自分にも信頼寄せてくれるクライアントがいる。エールをくれる仲間もいる。
Just starting over.
あの悪夢のような出来事から、早くも1年が経つ。不器用な自分にしては上出来だ。映画みたいに格好良くはいかないけどね。