変わらない美しさに対しては、変わっていく人間という存在は、理屈無く惹きつけられる。なかでも光が果たす役割は大きい。
建築、絵画、写真、服飾…
美術は美しさの記憶を様々なスタイルでとどめるもの。そして、そこでの主役は光だったりする。ある意味、光の記憶が美術であるといってもいいのかもしれない。
「人間が、ほんの一瞬の、はかない存在だとすると、光は、いつまでも変わることなく、いつまでもずっとそこに存在するものとしての、象徴的な役割を持っているのよ。人と人との殺し合いにつながるような、劇的な出来事が画面の中で展開しているとき、ずっとむこうには、岩山があり、空があり、そこに光がさしているのね。ずっと変化しないものと、あっという間に変化してしまうものとのさりげないけれど劇的な対比が、画面に描かれたドラマに堂々たる奥行きを与えているのだわ」 (片岡義男 海を呼びもどす)
人の記憶という闇に中に、『言葉』という光を与える文学も言うに及ばず…