Homare's Diary

組織人事コンサルタントの徒然日記です

ノーブランドで勝負する

組織においては序列というのがあります。実力、実績を上げてプロモーションされていく。コンサルティングファームでいえば、マネジャーというのが一つのメルクマール。コンサルタントとして一人前という一つの証左です。

20代の新卒でITコンサルティングファームに入ったときには、いかに早くマネジャーに上がるかという事が目標でした。自分の性質に完全にマッチしないITというドメインに長居をするつもりはありませんでしたが、マネジャーという卒業証書を手にして意図するドメインに転じようと思っていたからです。その時は、中途半端に転出してもずっと中途半端だと頑なに思っていました。意図するドメインは、業務プロセスであり、中期的には戦略でした。

とにかく、上位の人間が行うレベルの高い仕事は意図的に行っていきました。時に自分より仕事ができそうもない上の人間を排除することも含め。まあ、仕事なんてものは与えられるものではなく自分から獲りにいくもの、上の仕事ができてこそプロモーションの資格がある。それは、普遍的だと思います。機会を自ら創らず、会社はチャンスをくれない、評価が妥当でないとか言っているお坊ちゃんには上に行く資格はないのです。

果たして僕は中途入社でプロパーより専門性ではディレイドスタートでしたが、同世代より早く上に上げてもらいました。29歳の時です。そして、当初の考えに沿ってITからは卒業しました。

とはいえ、タイトルに拘ったのは20代までで以降は執着心が無くなりました。戦略ではシニアマネジャーにプロモーションされましたが、タイトルを下げて組織・人事の専門ファームに転じました。40代からは、インディペンデントとしてリクルートのプロ契約社員となりました。

肩書きはありません。名刺はシニアコンサルタントなんてつけてもらいましたが、権限も別にあるわけじゃない。そもそも、僕は個人会社所属ですから会社という肩書きすらも背負っていない。ユニフォームを着て背番号をつけた人たちに混じり、無地で背番号を付けていない選手の感覚でした。

肩書きを手にするとか、より上に行くという価値観ではなく、納得のいく仕事をするチャンスを確実にモノにする。自分にしかできない仕事を多く作り出す事が肩書きなどよりも大事なことなのだとそれを肌で知りました。多くの人は、そんなことを会社人生を終えた後に気づくものです。

そして無地のユニフォームの人間から見て、序列を気にして毎日を一喜一憂し、本音を押し隠している社員たちは、時に滑稽にも思えました。

7年のノーブランド生活から久しぶりにユニフォームを纏い、背番号を付けて仕事をしています。組織のビジョンや戦略を描く、仲間とともに成長するという醍醐味はありますが、肩書きなんて一度なくした人間からすると、頓着する対象ではなかったりします。みんなの夢を創るための責任ということなら、引き受けてもいいけど単なるタイトルはどうでもいい。タイトルに執着してその果ては社内政治に破れた人の末路もいやというほど見てきましたしね。

若いときは上に行こうとする貪欲さが人を成長させるとは思うのです。でもどこかでそのパラダイムには限界が来る。人生100年就労70歳時代だったら、背番号やユニフォームなどなおさら無意味ですよね。