Homare's Diary

組織人事コンサルタントの徒然日記です

設計は思考、運用は感情

失敗が多い人事制度。その原因の多くは評価制度を中心とした運用にある。評価のメリハリが付けられないため、年功者の既得権が維持される。若手の優秀者が集団に埋もれる。

制度改革の理由は何時だって大して変わらない。

・報酬の適正配分
・戦略実現に必要な人材の確実な登用・抜擢の具現化
・成果創造に寄与する行動発揮・能力開発の促進

ざっと上記の3つであり、優先順位が変わる程度だろう。そして、制度の要である等級(偉さの基準)も、保有能力、発揮行動、役割・職務の3つしかない。

目的も手法もさほど変数がないにも関わらず、運用が失敗してしまう理由。それは、設計は思考で正しさを追求すればできあがるが、運用は人間の感情が左右しているということ。

TO-DOは思考、Executionは感情。

面倒くさい、メリットを感じない、自信がない、相手の怒りや反発が怖い…

負の感情で彩られた評価制度はまともに運用されなくなる。その裏側には、無難な評価をつけて然るべき年次で昇格させとけばいい…という年功と同調圧力が意識に強く働いている。

なんだかんだいって、日本企業は新卒から定年まで年次で管理されるゲゼルシャフトムラ社会)であり、ゲマインシャフト的(機能合理)な制度運用ができるマインドを持った人間は少ない。

ゲゼルシャフトの同調文化に、欧米型の職務等級、処遇制度なんて木は到底根付かないわけで。負の感情が起きないように土壌改善をしないことには、いくら木を植え替えてもうまくいかないんだよね。