Homare's Diary

組織人事コンサルタントの徒然日記です

芸術より自然の造形美

優れた芸術作品を数多く収集するコレクター。こういうコレクターは最終的にどんなものを欲しがるのか。美術館からの帰り道。吉田さんは、乗換駅のホームから見えた見事な夕焼け空をみて思いつく。

~巨万の富や名誉を手に入れた後、次に人が欲しくなるのは、この夕焼け空なのかもしれない。もちろん夕焼け空に限った事ではない。美しい天の川。澄み切った清流。森の朝・・・。

全てを手に入れた人は、最後にそんなものを欲しがる。しかし夕焼け空はどんなに願っても手に入らない。ちょうどガラスケースに入った青磁楕円盤と同じように。
と考えると、絶対に手に入らない夕焼け空の代わりに、この世にはマーク・タンジーの赤一色で描かれた<サント・ヴィクトワール山>があるのではないか・・・
ANA 翼の王国 10月号 <空の冒険> 吉田修一

巨万の富と名誉を手に入れた後、人が最後に欲するものは芸術で。その芸術というのは、決して手に入らない無限の美しさを持つ自然の造形美の代わりになるもの、というのはある意味で的を得ているだろう。

とはいえ、巨万の富や名誉が手に入ったあとでなくても、自然の美しさを賛美し、愛でることなんていくらでもできる。

きっと、美術作品のコレクターになるような人は、僕の様にいつも仕事の手を休め、空を見上げているようないい加減な人間ではなく。夕陽も月の輝きにも目も呉れずに、人生を突っ走ってきたことの埋め合わせを、稀有な美術作品を集めることでしているんではないかなと思う。

でも、神の創った唯一無二の自然の造形美に敵うものなどあるはずもなく。結局、幾ら集めても足りないという事になる。であれば、常日頃から意識をして、自然の美しさに目を留めていく方がいいのかもしれない。