Homare's Diary

組織人事コンサルタントの徒然日記です

トランジション物語としての新・巨人の星

巨人の星は、あしたのジョーと並んで大きな影響を受けた漫画。新・巨人の星と合わせて全て揃えて何度も読み返していた。

 


巨人の星は、巨人にいながらも肩を壊したことにより、幻の名三塁手となってしまった父一徹の夢を叶えるべく、巨人のエースを目指す飛雄馬の物語。

 


幼少期から猛特訓を受け、鍛え抜かれたコントロールとスピードボール。一方で、体重が軽くボールが飛びやすいハンデを補うために、編み出された大リーグボール。何度か攻略され挫折をみるも遂には頂点を極める。一方で誰にも攻略できないが、自分の左腕を蝕む大リーグボール三号により、完全試合達成というクライマックスの瞬間に左腕が破壊され幕を閉じる。

 


大人になってから、共感するのは続編として書かれた新・巨人の星だったりする。

 


・長く培った技能、経験は、左腕の破壊という形で完全にリセットされている

・5年のブランクを経た復帰を、友人、ライバルがバックアップする

・父の夢でも、頂点でもなく低迷する巨人、長嶋茂雄監督のために復帰を志している

・かつてのエースでありながら、無地のユニフォームを纏い入団テストを受ける

・復活のステップとして、代走、代打のスペシャリストとしての復帰

・全く投球ができなかった右腕を鍛え上げ、再びエースに返り咲く

 


トランジションを迎えてそこから這い上がるキャリアストーリーであり、リストラなどの憂き目にあったビジネスマンに重ねあわせることもできる。

 


今は環境変化が早くて不連続だから、利き腕が利かない状況に陥ることは決して珍しくない。それによって、辛酸をなめる経験を味わうことだってあるだろう。その状況から、何を志として這い上がっていくのか。不屈の精神を持ち、志を持つ人においては、支援者が必ず現れてくれる・・そんな勇気を与えてくれる物語だったりする。

 


そして、何より良いのは、巨人の中での相対的に一番という「星」ではなく、畏敬する人間と共に戦う絶対的な世界の「星」を目指していくというところにあると思っている。

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