Homare's Diary

組織人事コンサルタントの徒然日記です

西郷山に見る豊饒の海

松枝侯爵邸は、渋谷の郊外にある高台の広い地所を占めている。その面積は14万坪。


庭の一角にはイギリス人が設計した壮麗な洋館がある。庭の中心には、紅葉山を背景にした広々とした池がある。池ではボート遊びも出来、中之島もある。紅葉山の頂には滝口があり、滝は幾重にも落ちて山腹を巡り、石橋の下をくぐり、佐渡の赤石のかげの滝壺に落ちて池水に加わる。池では鯉も釣れ、寒鮒も釣れた...松枝邸はもとより紅葉で名高かったが、桜もそれなりに見事であって、正門から八丁の並木には、松にまじって桜も数多い。


豊饒の海 第一巻 春の雪」に登場してくる主人公 松枝清顕の住む松枝邸の描写。これは、虚構なのであろうか・・あまりにも精緻であり、実際にモデルがあったのではなかろうか。


頭を掠めるのが代官山にほど近い西郷山公園。ここには、西郷隆盛実弟が住み、かつては洋館もおかれていたという。高台にあり、滝も池もある。侯爵家は、維新の立役者である鹿児島の出身という設定。


はたして調べてみると、小説の舞台となったのは西郷山公園にあった西郷邸だそうだ。洋館は、現在では昭和村に移築されている。まさに、小説に出てきたとおりの洋館。西郷山がある青葉台は目黒区だけど、渋谷にほどちかい場所。


先日訪れた鎌倉文学館の特別展「三島由紀夫 豊饒の海のススメ」、

これを機に改めて豊饒の海を読み進めているのですが、松枝邸がよく訪れる西郷山公園だったとは...足が治ったら、違う眼でこの公園を眺めてみようと思います。