Homare's Diary

組織人事コンサルタントの徒然日記です

修羅場の生命力

野生動物は病気になると食事を取らない。飢えが生命力を高め、病気の治癒につながることを感覚的に知っているから。

 人間においても、飽食を重ねた末に待っているのは、メタボな体と生活習慣病。豊かさは、生命力を却って低下させてしまう。同じように安定した雇用が社員の力を引き出していくのか。むしろ、修羅場や後がない状態に置かれたほうが、人は生き残りのために全知全能を使って打開策を考えようとする。

新規事業が成長できなかったとしても、自分がかけがえの無いピースでなくても、契約は打ち切られてしまう。いつも後がない。それが、自分の置かれた状況でした。

昆虫採集のように面白い事例は集めていました。後のない状況の中では、事業やサービス開発に向けたヒントを見つけようと、以前よりも目を皿のようにしてデータや事例を集めたわけで。そして顧客の課題に合わせ、リアリティをもって話せるようにする。人事部は、他社の事例にことさら飢えている。生き残りにおいては、自分の持ち味や強みに集中させていくのが一番。

面白いもので、様々な事例を集めて話すと、相手も内情を教えてくれる。開示の返報性というやつだ。わらしべ長者のように、事例が事例を集め、いつの間にかいろいろな事例を話せるようになった。すると、案件も付いてくるようになった。自分が手がけた事例が加わってくると、さらに案件を取れるようになった。

先週、今週と企業の人事部内の担当者向けに事例勉強会をさせていただいた。先月実施したオープンセミナーに出席した担当者が、内部のメンバーに聞かせたいと役員も含めて場を設けてくれたのだった。振り返ってみると、後のない状況で磨いたものが、働く環境を変えても大きな資産になっている。

もし、安定した環境で新規事業を手がけていたら、事業は開花し、僕自身も専門性を獲得できたのだろうか...多分、Noなのだろうな。