Homare's Diary

組織人事コンサルタントの徒然日記です

自分の好きを忘れる呪文

変化が激しい世の中で重要なのは「セルフマネジメント」。自分自身を深く理解すること、自分というリソースを使ってどのように成果を上げるかを体得することが大事である。

 

 

 

その上では、まず次の4つの質問に一人称としてしっくりくる回答ができるようにならなくてはいけない。

 


 

「Who are you?」 (あなたは何者?)

「What is your vision and purpose?」 (あなたのビジョンや目的は?)

「What is your priority?」(あなたは何を大切にしている?)

「What is your strength?」(あなたの強みは?)

 

 

 

日本人の多くは、この質問に回答をすることができない。「自分は何者か?」「何をしたいのか?」という本質的な問いに答えられないのは、受け身や暗記の教育で育ち、社会に出てからも「与えられた仕事」をこなすことがよしとされ、その延長線上でリーダーやマネージャに昇進していくような仕組みで生きてきたからだと思う。

 


さらには、上記の質問に答えられないだけではなく、そもそも自分の「感情」に気づいていなかったり、頭だけで考えることが常態化することで感情を無意識に無視していたり、自分が今まさに感じている身体感覚についてわかっていない人が多い、ということだ。

 


これまで生きてきた中で脳に刻まれ蓄積された「習慣化された行動様式」、つまり自動的・無意識的な判断からくる行動をそのまま繰り返し、自動的かつ反復的にいつもと同じコミュニケーションスタイルで人と接し、パターン化された思考や今までの成功体験から意思決定を行う。それはそれでうまくいくこともあるし、脳のリソースを使わないから省エネ状態でいられる。

 


一方で、習慣化された行動ばかりとっていると、人間の大事な部分である「感覚」や「感情」に対して不感症状態に陥る。すると、なぜかストレスや疲れだけがたまり悶々としはじめ、仕事にやりがいも感じない。だけどやることはドンドン溜まっていくから、とりあえず頑張っている人がとても多い。

(Forbes 稲墻 聡一郎氏のコラムから抜粋)

 

この考えにはとても共感する。キャリア研修というのは、この本質的な問いに思考を巡らせ一人称としての解を出していく場とも言える。

 

実際に、大手企業で50歳の研修に出てきた対象者において見かけるのは、譲れない価値観や執着しているテーマを人に説明できない人が多いという状況。週末のゴルフと酒を飲むことくらいしか趣味と言えるモノが無い人においては、見掛けも異常に老けている。

 

 

彼らにおいては、感情や感覚を大事にして生きていないから、体をいたずらに老化させる刹那的なストレス解消法しかできないのだろう。セクハラやパワハラなんて言うのも、感情や感覚を無視して生きているからじゃないかと思っている。

 

 

当たり前なのだが、自分の好きに立脚して生きている人は、目の輝きが違うし若々しい。例えば、大学の先生とか研究者で実績を残している人にはそういう人が多い。ちょっと考えてみれば当たり前なのだが。

 

 

特に男性においては、小さいときから集団に同化することをよしとされ、自己の心に正直に振る舞うことは勝手で戒めるべきという呪文がかかりっぱなしになっている。そういう人においては、ある一種の洗脳を解いていく作業に近いモノが必要なのかもしれないね。