Homare's Diary

組織人事コンサルタントの徒然日記です

アレルギーのせいじゃない

今年は花粉の飛散量がとりわけ多いらしく、アレルギーの人はとてもつらそう。僕自身も軽い杉アレルギーだから、飛散の多い日はなんとなく目がゴロゴロするし、鼻も詰まり気味になる。とはいえ、酷い状態になることはなく毎年やり過ごしている。

症状が一番良くなかったのは、高校3年の時。部活を引退し、受験勉強で夜更かしなどを続けていたから抵抗力が下がったのだろう。それまでは無かった鼻炎の症状に悩まされることになった。

国立を断念し、果ては私大工学部受験に立て続けに失敗。浪人生活を余儀なくされた3月の終わりごろ。症状が酷かったことを見かねた母親は、評判の耳鼻科があるということで僕をそこに連れて行った。

アレルギーの検査をしてみると、果たして僕にはハウスダストと杉のアレルギー症状がある事が分かり、医師の診察に通された。


問診で僕は一通り病状を医師に伝えた。その横から僕の母親は医師にこう言ったのだった。「この子の勉強が集中できないのは、この鼻炎のせいなのではないかと思えるのです」と。


母親としては、勉強が出来ない息子の事由を病気に求め、それを解消さえすれば少しでも状況が改善すると信じていたに違いない。担任から大学進学は止めて、専門学校を行くことを勧められた位、絶望的に成績は悪かったから。


医師は、「君、それは本当なのかね?」と聞いてきた。

「いや、それは違うんです。単に勉強をしてないから成績が悪いだけで。鼻炎がどうだのとかまるで関係が無いんです」 僕がそう言い終えると、その医師はいきなり手を差し伸べて握手を求めてきた。


「君の態度は立派だ。君はどこの学校に行っているのだ・・?」と。呆気にとられながらも自分の学校の名を告げると、その医師は自分の娘も同じ学校に行っているのだ・・と満足そうに頷いた。


中学、高校と大人に褒められるようなことは何もしてこなかったからその時の光景は印象深く、花粉症の季節になると時々そのシーンを思い出す。そして、環境や他人のせいにしないで自分の責任で生きていくことが最も潔い生き方だとその人がいいたかったという事も。